ブックレビュー『漫画 君たちはどう生きるか』(吉野 源三郎 著)

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タイトル 漫画 君たちはどう生きるか
著者 吉野 源三郎(著)、羽賀 翔一(イラスト)
出版社 マガジンハウス
発売日 2017/8/24
ページ数 単行本(ソフトカバー)320ページ

少し前までどの書店に行ってもずらっと並んでいたこの本。
新しい本かと思いきや、原作は1937年に書かれた本でした。
遅ればせながら私もやっと手に取ってみました。


目次

 


あらすじ

コペル君こと本田潤一は父親を亡くし、母親と近所に住むおじさんに囲まれて暮らす15歳。
父親は生前に、編集者をしているおじさんにこう言っています。
『潤一の年代のこどもたちに伝えることがたくさんあったのに、それをできなかったのがくやしい。彼らが立派に成長することを願っている』と。
それをうけて『こどもたちの為になるような本を書く』とおじさんは約束します。

勉強ができ、友達にも恵まれ、正義感に満ち溢れ、父親が不在であるという事実以外は、何不自由なく育っていくコペル君。

物語は、コペル君が日々過ごす中で疑問に思ったこと、怒ったり、喜んだり感情を動かされたことをおじさんに打ち明け、おじさんがそのことについて本のベースとなる日記に書き連ねていく流れで進んでいきます。

日記
素直なコペル君は、真っすぐに物事を考え、善悪もしっかりと判断できているようでしたが、ある日重大な過ちを犯してしますのでした。


感想

最初から最後まで今でいうたった高校1年生のコペル君がしっかり物事を考えているということに感心しました。物事について、それをあるがままにただ受け入れるのではなく、何故そうなっているのか、物同士のつながりなど私たちが通常当たり前すぎて考えもしないことを寝るのも忘れるくらい考えます。
コペル君がぼんやりと思っていることについて、おじさんは明確な答えを教えず、うまく思考を導いていきます。

コペル君の名前の由来となったのは、地動説を唱えたコペルニクス。

コペルニクスは太陽や月、星が地球の周りを回っているといったそれまでの思想を打ち砕き、真実はその逆であると唱えました。デパートの屋上で小さく見える人々を見ながら「人間って本当に分子なのかもしれない」とつぶやいたコペル君を地球(自分たち)が天体の中心ではないと言ったコペルニクスになぞらえています。

人は分子

自分の周りの人間や出来事が自分を中心に動いているか、はたまた、自分は全体の小さな一部であるかと考えるかでは、身の振り方も大きく変わるのではないでしょうか。

重大な過ちについてはネタバレとなるので詳細は書けませんが、頭で正しいと思っていても実際には行動に動かせない矛盾や、それに対して悔いることについてです。

悔いること(=こころの痛みを感じること)はとても大事です。痛みというのは、からだの状態が本来あるべき状態でないということを知らせるサインです。こころが痛んだときに、勇気をもってそれを正すという道を選べるのは人間だけに与えられた特権でもあり、使命でもあります。自分の悔い(こころの痛み)は、自分の行動をもってしかなくすことはできません。

「君たちはどう生きるか」は、普段の生活の中でいかに考えることを怠けているかを反省し、物事の仕組みや自分の役割について考える重要性を気付かされた一冊でした。

今回ご紹介した「漫画 君たちはどう生きるか」はこちらでご購入いただけます。